三代 加藤春鼎の海外での活動

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2003 スペイン・バルセロナ

いつもと違った場所での創作で感じたエネルギー

バルセロナへは、展覧会の開催が目的だったのですが、違う空気の中で作品を作ってみたいという思いを実現するためでもありました。
バルセロナから車で1時間くらいのところにガリーファという所があります。何もない山の中なのですが、そこにアルティガスさんという造形作家の工房があり、そこにお世話になりました。
ガリーファの工房 アルティガスさんの先代がパリの美術学校でミロと同級生だったため、ミロが陶器の仕事を始める時に滞在していたそうです。 ミロの作品がいたるところにあるという贅沢な場所で、広いアトリエと広ろめのゲストルームがあり、ここに滞在して仕事ができるようになってます。 世界中から多くのアーティストが訪れ、私が行った時も、ブラジルの造形作家・アメリカの陶芸家・スペインで画家をされているアルティガスさんの息子さんがいらっしゃいました。 言葉はわかりませんが、物を作るもの同士でうから通じるものがあり、自然に交流ができ、夜になるとみんなで飲んで唄って踊ったものです。

40日程滞在し、そこで作った作品をそのまま展覧会で発表しました。
使い慣れた窯とはちがう物を使ったわけですが、とても焼きやすかったです。日本では薪の入れ方を考えないといけませんが、バルセロナは空気が乾燥しているせいか、薪を入れれば温度がどんどん上がります。
スペインという土地柄もあるかもしれませんが、物を生み出そうとするエネルギーに溢れ、私も自然にそのような気持ちになれました。日本にいる時とは違うイメージがわいてきますし、とても刺激的でした。

2004 再び、フランス・パリへ

日頃の自分の仕事をそのまま携えて

ホテルリッツで2002年に展覧会を行った際に紹介された、陶芸専門のギャラリー・ピエールで展覧会を行いました。
パリには陶芸専門のギャラリーが3件しないそうで、その1件です。オーナーはもともと建築家ですが、焼き物が好きでギャラリーを開いたそうです。
パリ・ギャラリー・ピエールここでの展覧会で印象的だったのは、ディスプレーです。例えば、長い展示台の両端にポツン、ポツンと作品を置くなど、日本とはまったく違った雰囲気でした。ギャラリーの感性で展示したいからと、作者である私にも一切さわらせてくれないのですが、その斬新でセンスのよいディスプレーには驚きました。
ホテルリッツでの展覧会では、金銀を使った現代的な物も展示したのですが、実際には引出黒への関心が高かったので、ギャラリー・ピエールでは、引出黒を中心に展示しました。
私自身もパリに合わせようとするのではなく、自分の日頃の仕事を持っていくべきと思っていたので、日本で発表しているのと同じものを持っていきました。
イメージでは比較的安価な花器などが売れるのだろうと思っていたのですが、茶碗や茶入れを買い求められるコレクターが多かったです。きっと作品だけでなく、その背景にある日本の文化をみているのでしょう。